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zoom RSS 平山用水のこと

<<   作成日時 : 2010/02/15 06:18   >>

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 小櫃川上流から中流域には、近世に作られた用水が多い。幕府領や旗本領が錯綜する当地方には珍しく、久留里藩や川越藩が広い範囲を支配していたからだ。久留里藩領では、戦国期に武田氏によって御腹川に大上堰が造られており、近世初期の寛永9年(1632)土屋氏によって長谷川堰が造られた。この2つの堰を合わせて御腹川用水という。この用水による灌漑面積は、270町にも及ぶ。川越藩領では、近世後期に4つの用水が造られた。その先がけとなったのが、君津市の亀山地区から松丘の平山地区に引かれた、「平山用水」である。以下、『君津市史』や『上総町郷土史』をもとに、「平山用水」の概略について記してみる。

 平山村(現君津市平山)を流れる小櫃川は、川床が大変低く、田畑の灌漑には利用できなかった。天保3年(1832)の農地は、田が10町余、畑地が39町余と圧倒的に畑地が多く、村は大変貧しかったようだ。天保3年三本松陣屋に提出された「弁書」によると、総戸数71軒のうち「極貧の者20軒、難儀の者30軒」とあり、また、畑作物の収入30両に対し、飯米の購入費用が50両という状況だった。昔は「松丘には、嫁にやるな」と言われていたともいう。こうした状況を目の当たりにして、隣りの宇坪村に住む和算家、鈴木三郎左衛門は用水建設を思い立ち、文政2年(1819)川越藩に嘆願書を出したが却下されてしまった。改めて天保3年に、今度は、鈴木三郎左門衛とともに、名主長兵衛はじめ村中連名で嘆願書を提出すると、翌年許可が下りた。実に、鈴木三郎左衛門単独の嘆願から15年後のことである。

 工事を請け負った、夷隅郡小苗村(現大多喜町)の五右衛門の記録によると、工事期間は計画では10ヶ月の予定だったようだが、実際は3年4ヶ月かかっている(完成は天保7年8月)。また、経費については、995両2分の見積もりであったが、実際には1615両(藩金)かかっている。工事には、のべ39094人もの人々が参加している。亀山郷52ヶ村の助郷でまかなわれた。小櫃川上流の取水口、坂畑村の稲ヶ崎から総延長約20kmに及び、工事は大変な難工事だったようだ。工期がそれを示している。

 ところで、この平山用水は、地域の人々の生活をどう変えたのだろうか。田の面積は用水建設前の3倍強になったのだから、平山村の人々の生活は当然以前よりよくなったと考えるだろう。長い目で見れば、確かにそうだと思う。明治21年には、顕彰碑が建っているのだから。ところが、江戸時代に限って言えば、そうではないのだ。もともと川越藩は、収奪のきついことで有名で、亀山地区では、天保13年に大きな百姓一揆が起こっているほどだ(『富津市の歴史』参照)。どうも、田の増加に対して、年貢を重くしたようで、この後、度々生活困窮を訴える嘆願書が、平山村や亀山郷一円の村から川越藩に出されているのである。江戸時代に限って言えば、用水の完成は、平山村の人々の生活を向上させるどころか、より一層の収奪の強化を生んだのである。

 下の写真(略)は、国道沿いの用水と分岐点、明治時代に建てられた「平山開墾碑」である。また、市の指定文化財である「平山用水開墾絵馬」が保存されていた大原神社である。絵馬は、現在、久留里城址資料館に保管されている。昭和62年には大原神社の鳥居の脇に、新しい「取水記念碑」も建てられている。この記念碑の後ろに広がっている場所が大原台といい、平山用水によって水田ができるようになったところの1つである。
 なお、大原神社は、小櫃の白山神社や久留里の久留里神社と同格のかつての「郷社」で、境内には、写真のように立派な「神楽殿」なども残されている。祭神は、『君津郡誌』によれば、「天兒屋命」と「天太玉命」である。

http://www.geocities.jp/marusyou03/sub16.html

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